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特定非営利活動法人

化学兵器被害者支援日中未来平和基金

設立趣旨書

 

◆遺棄化学兵器(毒ガス)被害問題とは

  中国の大地には、いまなお、旧日本軍が遺棄した数多くの化学兵器がねむっています。

  先の大戦において、旧日本軍は、国際法上その使用が禁止されていた化学兵器を中国に大量に持ち込んだ上、戦場に配備し、使用しました。

それら大量の化学兵器は、日本敗戦前後の時期に、地面に埋められたり河川に投棄されるなどして、組織的に遺棄されました。これが、中国国内に、大量の遺棄化学兵器が存在することとなった所以です。遺棄された大量の化学兵器は、戦後、化学兵器であることを知らずに触れるなどした数多くの中国の人々に、計り知れない被害を与えてきました。化学兵器被害は、皮膚のびらんをはじめ、呼吸器・内臓・神経など全身に症状が及びます。たとえ一命を取り留めても、時を経て疾患の進行や遅発性の症状が現れ、その結果、被害者たちは、健康被害のみならず、働けずに困窮生活に苦しみ、あるいは就学できずに将来の夢を失うといった、全人生にわたる被害を受けています。

◆これまでの活動の経緯

  「失われた命や健康はもとに戻せない、でも、せめて安心して医療を受けられるように、生活の支援をしてほしい」・・私たちはそんな被害者たちの願いを受けて、1996年以降、日本政府を被告として、複数の訴訟に取り組んできました。訴訟の目的は、司法の場で日本政府の法的責任を明らかにし、日本政府に、被害者たちの医療支援・生活支援のための制度をつくることを促すことにありました。

  そして、化学兵器にばく露して発症している疾患を早期に発見し、その被害を解明するため、私たちは、日本の医師らの協力を得つつ、中国の医療機関を利用しての日中合同検診を、複数回実施してきました。

  しかしながら、私たちは、このような活動に取り組む一方で、被害者たちの健康状態や生活実態が、時を重ねるに従って悪化している現実を目の当たりにしてきました。

  被害者たちは、生活苦のため適切な治療を受けることができません。癌などの病気を発病しながら十分な治療を受けられずに命を落とす被害者たちは後を絶ちません。

  そのような被害者たちに、今までの検診活動にとどまらず、一刻も早く、具体的な医療支援・生活支援を行うことが必要です。

◆私たちが行うこと

 中国では、2015年8月14日、中国人権発展基金会という民間の基金と日本の民間団体とが協力し、すでに遺棄化学兵器被害者に医療支援を行う旧日本軍細菌化学兵器被害者救済基金が設立されています。

 私たちは、この基金と協力し、日本の市民と中国の市民、日本の医師と中国の医師との協働によって、遺棄化学兵器被害者の救済のため、以下の活動を行っていきます。

1.遺棄化学兵器被害者への医療支援

 

これまでの検診活動の知見を踏まえて、中国の医師と日本の医師が協働して被害者を治療し、被害者の症状を和らげる医療支援活動を行います。また、被害者が常時服用している薬の費用を、中国の旧日本軍細菌化学兵器被害者救済基金を通じて援助します。

2.日中双方の市民による遺棄化学兵器被害者への精神的な支援

社会的に孤立した被害者たちに、日中双方の市民との交流の場を作り、「私は一人じゃない」という思いを持ってもらえるよう、精神的な支援を行います。

3.広報活動

旧日本軍の遺棄化学兵器による被害について、実態を市民に広く知らせるため、講演などの広報活動を行っていきます。

4.遺棄毒ガス兵器被害者の研究支援及び被害者支援のための政策提言

 

いまだ全体像が把握されていない化学兵器による身体的被害の全体像を解明するための医学研究を支援していきます。また、事業を通じて、

遺棄化学兵器被害者に対してどのような支援が必要かを見いだし、遺棄化学兵器被害者支援のための政策を提案していきます。

◆特定非営利活動法人へ

 

私たちの活動が社会的に広く信頼されるように、また、志を同じくする人々に開かれた団体として認知してもらえるように、さらには、法人格を持つ団体として上記に掲げた各種事業を行うことができるように、この度私たちは、特定非営利活動法人(NPO)を設立することとしました。

私たちは、NPO法人化を機に、ますます充実した活動を継続的に行っていきます。

◆日中間の民間交流

 

私たちは、日中の医師と市民が協力し合って日中の遺棄毒ガス被害者を支援し、日中の市民が直接交流することにより、双方が信頼し合い、

日中関係がさらに良くなることを目指しています。

以 上

2016年3月2日

設立代表者   南 典男

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