
認定NPO法人化学兵器被害者支援
日中未来平和基金

遺棄化学兵器発掘・回収作業による事故についてのNPO声明
2026年8月5日
NPO化学兵器被害者支援日中未来平和基金
代表理事 渡邉知行
日本国政府が1995年9月に批准した化学兵器禁止条約(CWC:Chemical Weapons Convention)による日本国政府と中国政府との覚書に基づく、旧日本軍によって化学兵器が大量に遺棄されている吉林省敦化市ハルバ嶺で化学兵器の発掘・回収作業において、2026年5月26日、発掘した砲弾から有毒物質が漏れ出して、日本人作業員2人が負傷して帰国したとの中国外務省による報告が報道されております。
本NPO法人基金では、遺棄化学兵器の有毒物質にばく露した被害者に対し、発症した疾患を早期に発見し、その被害を解明するため、日中両国の医師らの協力による合同検診を実施しております。度重なる合同検診等の結果、被害者の疾患は、化学兵器、特にイペリット、ルイサイト、など、きわめて有害な有機ヒ素化合物等の化学物質のばく露により、呼吸器等にとどまらず神経にも及んでおり、深刻・重篤かつ不可逆的で加齢を重ねるにしたがって益々重篤化する傾向にあることが判明しました。遺棄化学兵器被害から時間がたち、被害者の日常生活・社会生活を維持するために、多大な医療支援や生活支援を行うことが不可欠となっていますが、根本的に疾患を治療する方法はまだ発見されていません
化学兵器の発掘・回収作業によって被毒した場合にも、このような疾患を発症する懸念があります。国に対しては、作業員の方には、今後、早急に十分な医療支援を行い回復を図り、家族の方含めた生活支援を継続すること、今後発症の可能性がある疾患に対する治療法の研究を行うことを求めます。また、今回のような事故が発生しないように、作業現場では十分に作業員の安全を確保する対策を講じることを要請します。
ご挨拶
中国の大地には、今なお、旧日本軍が遺棄した数多くの化学兵器がねむっています。
それらは、戦後、化学兵器であることを知らずに触れるなどした数多くの人々に計り知れない被害を与えてきました。
私たちは、遺棄化学兵器にばく露して発症している疾患を早期に発見し、その被害を解明するため、日中両国の医師らの協力による合同検診を、複数回にわたって実施してきました。
しかし、被害者たちの健康状態や生活状況は時を重ねるに従って悪化しています。検診活動にとどまらず、一刻も早く、具体的な医療支援・生活支援を行うことが必要となっています。それを可能にするため、この度、私たちは、NPO法人化学兵器被害者支援日中未来平和基金を設立しました。
戦争が遺した負の遺産、化学兵器――。今なおその被害に苦しむ人々を救済するため、本基金への支援にご協力をお願いいたします。